札幌太田病院コラム

　みなさまこんにちは。今回は当院の入院治療における思春期支援を作業療法士（OT）の視点からご紹介したいと思います。当院の急性期治療病棟には、思春期の子供たちも入院しており、珍しいことではありません。入院理由は多岐にわたり、不登校、死にたい気持ち、家庭や学校での対人関係のトラブルなど、その背景には複雑な苦しみが潜んでいます。

　私たちの病院では、こうした若者に対して、「症状の回復」だけでなく「社会・学校への橋渡し」を見据えた支援を行っています。

〇1週間単位のスケジュールによる移行支援

　入院直後の混乱期を過ぎると、当院では1週間ごとの行動スケジュールを立てて支援を進めていくことを大切にしています。これは、単なるスケジュール管理ではなく、「毎日のリズムを整え、学校・社会生活に近づけていく訓練」でもあります。スケジュールの作成はOTが主体となり、本人と話し合いながら設定していきます。

〇多様な課題に対応したプログラム学習

　それぞれの課題に対応するために、例として以下のようなプログラムを準備しています。

・院内指導

　学習の継続に不安がある方には、落ち着いた環境で勉強を続けられる環境を提供しております。医大生が講師として来てくれるので、わからない問題をサポートしてくれます。

・SST（ソーシャルスキルトレーニング）

　家族や友達などの人との関わり方や気持ちの伝え方、トラブルの対応をテーマにロールプレイやディスカッションを通じて社会性を育みます。

・デイケアとの連携

　入院中においても、通所型施設であるデイケアのプログラムに参加することが可能です。デイケアには実際に地域生活を送る方々が通所しており、デイケアでの体験を通して社会との接点を持つことができます。

　思春期支援において、急性期病棟が担う役割は「再出発の準備」です。私たち作業療法士は、若者が「もう一度やってみよう」と思えるような、ポジティブな体験の積み重ねを通して、社会・学校への橋渡し役を果たしたいと考えております。

　思春期支援に関する問い合わせも、お受けしております。

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