T−G−21

不登校症例に奏功した内観療法


医療法人耕仁会 札幌太田病院
○太田 健介、響 徹
池田 明穂、太田 耕平

第99回日本精神神経学会抄録集:160,2003


 
【始めに】
 引きこもり青年の増加が社会問題化し、その数は80万人とも言われる。その多くは不登校からの移行組であり、引きこもり予防の観点からも不登校の治療は重要である。当院では不登校症例への集中内観療法の有効性を18年前から学会等で発表してきた。現在は認知行動療法、運動・作業療法、学習指導、親への内観療法と認定療法的教育を加えた入院プログラムにより、比較的短期間で治療奏功している。今回、新たな有効例2例を報告する。


【症例1】中学生、男子、不登校期間1ヵ月。
 経過:嘔吐、頭痛等を訴え不登校となった。2度の小児科入院で身体疾患は除外され、当院へ転院。入院当初は嘔気や頭痛の訴えが強く、臥床しがちで、退院を求め母親に怒り散らすこともあったが、集中内観療法を中心とした治療プログラムにて症状は徐々に消失。第12病日から当院より登校再開。抵抗なく通学可能となり、第33病
日に退院。退院3ヵ月後も通学継続中。


【症例2】中学生、女子、不登校期間2年。
 経過:中学時より不登校。最近は父親を避け、母親に対する暴言等も出現。某月に当院入院。退行した幼児的自己中心性が目立ち、治療へ拒否的態度も強かったが次第に改善し、第11病日から当院より登校再開。第21病日には安定して通学可能となり退院。退院2ヵ月後も通学継続中。


【考察】
 上記2症例は、いじめや精神疾患など直接的誘因の不明確な不登校。症例2は症例1に比し治療の抵抗性が長く強かったが、その背景には子供に従属的である親の存在のために不登校がより長期間化したことがあると考えられた。このように親が従属的で、不登校が長期化すると治療困難となるため、親に対する登校を促す種々の行動様式の教育・支援を含む早期の治療的介入が重要である。


【まとめ】
 不登校に対し内観療法は有効性が高く、今後普及することが期待される。


※プライバシー保護の点より、抄録の1部を変更しております。御了承下さい。



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