病棟内・内観療法の構造と方法
1.その工夫・改善の理由と推移


札幌太田病院  太田 耕平、響 徹、池田 明穂、太田 秀造

第3回内観医学会抄録、2000


1.アルコール症の内観療法からシンナー乱用青年の治療へ拡大: 

 昭和49年、問題行動が多いアルコール症の一入院例に、小生は苦慮していた。内観療法(医学書院)に出会い、保護室で記載通り実践し、著効を人格、問題行動、反省面に認め、長期間持続した。以来、この感激をもとに、集中内観療法を第4段階に入れ治療計画(クリティカルパス) ・・ 十段階療法を1977年に発表し今日も実施されている。
 昭和55〜60年に急増したシンナー乱用青年にも同療法が有効であった。その後、いじめられ問題、不登校、非行、家庭内暴力、食行動異常などにも内観療法を加えた総合的な治療計画を効果的に実践しえた。

2.中毒を合併した精神分裂病への保護室内・内観療法:

 水中毒による痙攣発作、不整脈と幻覚、妄想を認めた分裂病女性を保護室に収容し、子供時代の母やピアノ演奏の楽しさを回想し、院内の音楽療法を手伝うまでに回復して患者、治療者ともに喜びを共有した。この経験は重症例の保護室内・内観療法への導入を可能とし、精神分裂病や拒食症など急性期患者にも適応の幅を広げ、効果を得る契機となった。

3.職員の内観体験研修と学習、学会発表:

 内観面接職員、全職員のレベルアップのため積極的に実践してきた。平成3年から、新人研修に集中内観体験を義務化し、現在はほぼ全職員が体験し、職員全体が本療法を理解し協力可能であり、病棟内のでこでも、いつでも、誰にでも、幅広い症例に内観的関わりと支援が可能となった。

4.内観療法の導入方法と場所の多様化:

・外来        :日記内観、書籍
・外来新患と家族 :書籍、パンフレット、テープ、ビデオなどによる内観学習。
・病棟        :面会コーナー、廊下、食堂、トイレ、風呂などで随時拝聴する。
病室(個室、2人部屋、4人部屋、保護室)に屏風(+)または(−)。内観室(1人部屋、2人部屋、3人部屋、4人部屋)には屏風を入れる。さらに診察室、ナースステーション。

5.内観療法の方法の多様化:

【時間】 1時間内観、2時間内観、午前中・午後内観、寝る前内観、トイレ内観など。
【生活内容】 歩きながら内観、立ち話内観、家族面会時内観、学集会内観、食事内観、トイレ内観。
【医療行為下】 点滴時内観、内観診察、保護室収容時内観、放送による集団内観、ウォーキング・カンファレンス内観、。
【記載内観】 メモ内観、内観日記、内観リポート、人生歴史年表記入。
【身体内観】 足、手、目、鼻、口(興奮時やむを得ず仮縛中内観)。
【テーマ別内観】 靴、下着、服、メガネ、家具、水(水道)、電気(電線、発電所、水、石炭)。、
【家族内観】 自宅日記内観、家族(父、母、・・・)同時内観、家族ボディワーク。
【内観音楽療法】 作曲者、演奏者などへの感謝、聞く曲、歌の思い出、習った人などへの内観的回想。
【内観作業療法】 描画や習字で、手、紙、絵の具、筆、墨の由来の内観など。

 上記のように、多くの場面で応用できる。そして、最終的には集中内観療法へ導入する。この2〜3年は、各種治療が終了し退院前に病院職員に対する自分を3日間、内観を行なっている。
 
 これらは当院の25年間の試行錯誤から有効な事実を採用し、積み重ねてきたものである。ほとんどの職員が、これらの内観療法の指導、看護治療に参加し、納得のうえ協力実施中のものである。