15.デイケアに内観日記を導入して


札幌太田病院
○上島有美子 鈴木佑 金谷沙奈美 山下佳代子
古沢静子 山本幸恵 糠塚清美 工藤秀子



【はじめに】

 当院には現在、リハビリテーション施設として、精神病を対象とした「第1デイケア」、アルコール依存症を対象とした「第2デイケア・青春」、思春期・青年期を対象とした「第3デイケア・希望」の3つのデイケアが開設されている。それぞれのデイケア活動が、精神に問題を抱えた方々の社会復帰に寄与している。そのうち第1デイケアは昭和64年に開設された14年の歴史を持つ、最も古いデイケアである。平成7年からはナイトケアも併設している。
 デイケアは、精神症状の改善・再発の防止・社会生活能力の向上を目的とし、様々な活動を行なっている。この度、デイケア活動の1つとして「記録内観」を導入した。記録内観は退院後の日常内観の役割を果たす他、集中内観では気付けなかったことに気付く機会を提供するため、当院では入院中から集中内観を終了した後、記録内観を行なっている。デイケアメンバー(以下メンバーと略す)の多くが当院で入院中に内観を体験しているためその導入は比較的スムースであった。しかし内観を体験していないメンバーは「どうやって書けばよいのかわからない」「文字を書くことが苦手」などと抵抗を示した。しかし導入後6ヶ月たった現在、様々な有効性がみられたので報告したい。


【導入方法】

 メンバーの記録内観導入にあたり、ビデオ(内観への招待)、プリント、オリエンテーションなどで動機付けを行なった。しかし、内観3問への理解が難しいため、1つ1つ例を上げ細かな説明をし、毎日の記録を促した。


【記録方法】

 デイケアが行なわれている月〜金曜日の朝のラジオ体操終了後、約15分間を記録内観記入の時間として設けた。金曜日にはノートを提出していただき、スタッフが目を通しサインをしている。記録用のノートは、1冊目はデイケアで用意したものを使用し、2冊目からは各々で用意していただいている。


【実感している効果】

@ 記録内観の習慣化と持続力の高まり
A 文字の練習をしようという意欲への繋がり
B メンバーとスタッフ間のコミュニケーションの充実
C 個人の新たな発見
D 治療計画への情報提供

 
【今後の検討】

 メンバーによっては、内観3問を調べることに困難を生じる者もいれば、迷惑・心配ばかりに意識がいき、自罰的になるものもいる。また、毎日決められた時間内で書くということにかえって焦りを感じる者もいることなどから、状態・症状に応じた記録方法と柔軟なテーマの選択が必要となる。
 現在、記録内観を継続しているメンバーは全体のほぼ半数で、ほとんどが継続困難と考えていたデイケアスタッフは驚きを感じている。メンバー自身が記録内観による心理的効果を感じているからであろう。また、スタッフによるサインやコメントは、「見守られている」という安心感をメンバーに持たせ、それらが記録内観を続ける土台になっていると予測される。こうした効果と更なる可能性を信じ、今後より多くのメンバーに記録内観を進めていきたい。


【参考文献】
1) 太田耕平:幼児から高齢者までの心の発達十段階心理療法 第9版 札幌太田病院 2002年
2) 上野みゆき:病気でも家族と幸せに暮らせる内観療法 光雲社 2001





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