14.自分の内観体験を高齢者の介護に活かす


介護老人保健施設 セージュ山の手
佐々木 治代



【はじめに】

 介護老人保健施設セージュ山の手に勤務させていただき、今年で10年目になります。
 内観にめぐり合い、体験させていただき、本当に良かったと思います。介護業務においても、内観は、あらゆる面で行かされていると思います。


【介護業務に活かす】

 療養室を清掃する時には、「ベット上にごみはないか。シーツにしわがないか、もし私がこのベットで眠るとしたらどうなのか」と、自分の事のように思えるようになりました。
 痴呆が進行して、自力では食事ができない場合など、食事介助をさせていただきますが、なかなか食事が進まないと、時間がかかって大変だと思っていましたが、内観をさせていただいてからは、少しずつ、相手のペースに合わせて、ゆっくり介助をするようになりました。きざみ食の場合は、献立がよく分からないので、説明して、「おいしいですか」と声かけも多くなり、楽しい雰囲気で食事ができるようになったと思います。
 入浴を拒否される場合には、どうしてなのか、相手の身になって、よく考えるようになりました。脱いだ服がどうなるか心配されているのか、また特に女性は、羞恥心のための拒否されるのか等、いろいろ気付く事があり、体にタオルをかけるなど、対応して、入浴介助をさせていただいています。
 排泄介助も、放尿や奔便行為がみられると、以前は後始末が大変と感じていましたが、近頃は、「排泄介助をさせていただいている」とプラス思考に変わったと思います。
 痴呆のため、何度も同じ事を繰り返して、話される場合、その対応には、こちらも疲れてきますが、受容して、落ちついた態度で接すると、相手も安心され、落ちつかれ、よいコミュニケーションを図れると思います。介護者の接し方で、相手も変わるものと感じています。


【入所者へ内観的に接してみて】

 女性入所者に母親について内観的に聞いてみました。「よくおもちついて、栄養のある物を食べさせてくれた。着物の縫い方や、編み物を教えてくれて、とてもやさしいお母さんだった。子供の頃に亡くなったので、親孝行はできなかった」と残念そうに話されていました。痴呆が進んでも、昔の事はよく覚えていて、生き生きとした表情でした。
 他入所者にも母親について話を聞き出し、良い聞き手になれるよう努力していきたいと思います。


【心のケア】

 入所者が亡くなられた時には、やはりショックで落ち込みす。前日までは元気だったのに、突然亡くなられた方もいらっしゃいます。かけつけたご家族に、何と言って良いか分かりませんでした。高齢者の介護をさせていただき、「死」という問題を身近に感じています。これからも内観を続けて、人の心を支えられる人になりたいと思います。


【観行】

 仕事が忙しく、ストレスを感じた時など、観行をしています。はじめは、イヤな感情をただそのまま受け入れることが難しく、苦しい思いをしましたが、観行を続けていくうちに、あれほどストレスに感じていたことが、気にならなくなったことに、我ながら驚き、不思議に思った経験があります。
 私は緊張しやすく、小さな事にクヨクヨ悩む性格でしたが、落ち込むたびに観行をしていると、物事にあまりとらわれず、気が楽になり、前向きに考えられるようになりました。
 観行の仕方を教えていただき、感謝しています。


【おわりに】

 「今」にベストを尽くそう〜。この言葉は内観中に教えていただきました。
 過ぎ去った事はすべて自分のためのよい経験であり、今以外に、人の生きる時はない。この「今」に集中して最善を尽くす所に、人生の生きがいは生まれる〜 心に残る言葉だと思います。心からの親切を尽くして、介護業務に活かし、入所者が安心して、充実した日々を送っていただけるよう努力していきたいと思います。そして、これからも内観を続けて、私も自己確立をめざしたいと思います。
 まだまだ未熟者ですが、このような機会を与えていただき感謝しています。






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