3.不登校に対する集中内観法の適用とその工夫

− 家族同時内観法と行動療法的手法の併用 −


札幌太田病院

阿部 一九夫、根本 忠典、宮本 舞、篠田 崇次、 .
上島 有美子、斉藤 述史、上野 ミユキ、太田 耕平


 
1.はじめに:

 不登校は新学期による学級替え、家庭の都合による転校、担任教師の交代などをきっかけに始まることが多い様である。しかし、不登校の背景には殆ど全ての事例において生育歴上の問題や、家庭環境上の問題があるように見受けられる。そのようなことから、不登校の治療には、家族関係を重視した心理療法である内観法が有効であるとの見解がいくつか報告されている。
 不登校を放置すると一定の年齢になってから社会性を取り戻すことも多いが、一部は成人になってからも、無気力な生活を続け、引きこもり、非行、犯罪と現代社会が抱える病的縮図とも言える状況に陥ることが指摘されている。不登校をできるだけ早い段階で克服できるように導くことは重要なことと思われ、効果的かつ実際的な方法を我々も模索中である。
 不登校事例のなかでも小学生や中学生など年齢の低い例を内観法で治療しようとするに当たり問題となる点をあげると
 
@ 児が幼く、集中内観に恐ろしさのような抵抗を感じる。そもそも不登校事例は精神発達が他の児に比べ幼いことがある。入院そのものもいやな出来事である。
A 生育歴上の問題や家庭的問題の解決のためには、家族療法が必要である。
B 内観療法を終えても、学校に行く事自体の抵抗は簡単にはなくならない事がある。

 我々は不登校に対する治療法として以前から集中内観法に加え、家族療法として家族内観をすること、また内観のみではなかなか通学再開までに至らない例もあることから、病院から通学を開始し通学に対する抵抗が低下したのを見届けてから退院させる行動療法的アプローチを併用してきた。
 今回は最近、中学生以下の事例における家族療法としての工夫として、家族が同室または同じ屏風内で内観する家族同時内観を数例経験した。低年齢の不登校事例への内観法の応用として有効であったと思われるので報告する。


2.家族同時内観の方法と事例紹介、その後の経過:


 以下の表1.2.に示す。中学1年生以下の症例が5例である。図1.2.は具体的に内観の様子をイメージしたものである。


3.考察

 内観することで、親兄弟、友人、先生などに対して感謝の気持ちが湧く様になる。この事は不登校の治療として本質的に重要である。しかし、その境地まで幼い児童・生徒を導くまでの過程が難しい。家族同時内観法は低年齢の児童に内観を導入するときの抵抗を軽減できること、家族療法として機能すること、等の利点があるものと考えている。
 また、内観をして様々な気づきがあったとしても、なかなか通学再開まで至らないことがある。このような場合には、行動療法的に学校へ行く抵抗を少しずつ軽減していく工夫も必要である。


【参考文献】
1) 太田耕平:登校拒否の治療 医療法人耕仁会発行 1984
2) 上野みゆき:病気でも家族と幸せに暮せる内観療法 光雲社 2001
3) 阿部一九夫:喘息、不登校に対して内観療法を適用した一例 日本心身医学会北海道支部
抄録集 12 2002




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