1.病棟内・内観療法の有効性を高める工夫


札幌太田病院 院長
太田耕平


 
 昭和49年否認の強いアルコール症の対応に苦慮している時に、奥村二吉ら著「内観療法」(医学書院)に出会った。病院保護室内にて吉村原法に従い施行し、驚くべき著効を得て、周囲に感銘を与えた1)。
 その症例はその後20年に渡り、断酒家の養成に偉大な功績をなされた。内観法への強い信頼感を与えられ、以来、様々の疾病、多様な病態、年齢の症例をいかにしたら、吉本原法に極力近い状態での内観に導入出来るかの工夫、改善をして来た2)。
 導入方法は極めて多様になった。また、有効性を認めうる症例も薬物離脱せん妄状態3)、精神分裂病の幻覚妄想状態4)、老年痴呆やせん妄などもゆったりと導入可能になった。他の治療法と比べ、また併用しつつ20数年を経て、内観療法が極めて効果的な治療法であることを実証してきた5)。

 内観法の改善

 @導入方法の工夫・・・多様化
 A内観方法の工夫・・・多様化
 B内観場所の工夫・・・多様化
 C内観期間の工夫・・・多様化
 D家族同時内観の採用
 E小児・母 同屏風内観の採用
 F適応となる疾病の多様化
 G内観指導職員の増加
 H内観受療患者が増加(平成13年 545名)

 病院全体の改善

 @小学生から高齢者までの対応がしやすくなった
 A全年齢層の内観的回想法が有効
 B記憶回想を通し、看護者−患者間の疎通性が良くなった
 C入院期間の短縮
 D新規患者の増加
 E職員の90%が集中内観を体験した
  (業務への熱意、技術の向上が継続している)

 これらの経過、工夫など図示(下記)を試みた。



    (図)内観導入・内観療法総合システム



【文献】
1) 太田耕平、アルコール依存者に対する10段階からなる教育的精神療法(10段階法)、アルコール研究 12巻4号:p163〜164、1997
2) 太田耕平,杉山善朗、病院内での集中内観、日本保健医療行動科学会年報、12:p39〜50、1997
3) 太田耕平、薬物依存と病棟内・集中内観療法、日本神経精神薬理学雑誌、20:p249〜252、2000
4) 太田耕平,杉山善朗、精神分裂病者の集中内観療法の有効性、精神科治療薬、13(10):p1215〜1223、1998
5) 太田耕平、交流分析と内観療法、交流分析研究、24(2):p125〜132、1999







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