21.兄弟間のいじめと不登校 − 家族全員の反省と協力で解決した −
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1.はじめに: 思春期・青年期の不登校・いじめ・家庭内暴力といった心理・行動的問題は後を絶つことがない。特に不登校は、子供の数が減少しているにも関らずその数は増大している。その理由は様々であるが、解決には当人だけではなく家族へのアプローチが必要である。 2.症例: 家族構成は父・母・小学校高学年と低学年の男児二人の四人家族。主訴は二人の子供の家庭内暴力と不登校。長男は両親と次男に対する暴力と不登校があり、家族に性器を露出させたり自分の首に縄を巻くといった問題行動も見られていた。次男は父親に対する暴力と長男に続いて生じた不登校。長男からの暴力は失神するほど苦痛を与えるものであった。二人とも年齢、身長に比してかなりの肥満で生活習慣も乱れていた。 3.父母の問題点: しかし話を聞いていくと生活の乱れは二人の男児だけでなく、両親の葛藤も同時に著しいことが明らかとなった。父親は持続的な頭痛・不眠により薬物に依存。子供の暴力に対しても打つ手がなくただ黙って受けているだけであった。母親は夫への不満が強く子供たちの前で夫に悪口・暴力を振るい、さらに次男には父親を叩くように命令していることなどが明らかになっていった。 4.治療経過: 二人の男児の治療には家族両方的接近が必要であると考え、家族四人個別で一週間の集中内観が施行された。内観療法の中で各々と相互の葛藤が明らかとなり、さらにその解決のための各々の気付きがあった。両親は「価値観の違いはあるものの、時には妥協し夫婦が意見を一致させていくことが必要であり、また夫婦の笑顔が子供たちにとっては一番の薬である」と気付いた。長男は「暴力ではなく言葉で伝えれば解決できること、また不登校になったのは自分の弱さで、家族のせいにしていたこと」そして「一日も早く平和な家庭になるために、家族と仲良くしていきたい」と述べた。次男は「もうお父さんを叩かない。お兄ちゃんとはいつも喧嘩したけど、やっぱり離れるとつらい。お母さんとは離れていても大丈夫になった」そして「家族は全員いないと楽しくない、全員いた方が良い」と気持ちの変化を語った。 5.考察: 問題行動は、両親の不仲から生じた精神的葛藤を表したものであった。長男は両親の絶えない喧嘩がストレスとなり、次男への暴力という形で表われていた。また父の弱さ不甲斐なさが不安と苛立ちを強め、母は次男ばかりを可愛がり、そのうえ次男に父を叩くように命ずることがさらなる葛藤を生み、両親への暴力となっていった。同様に次男も、大好きな母の命令に従わなければならず、また両親の喧嘩と兄からの暴力の狭間で失神してまでも耐えなければならない状況であった。このようのにして長男から始まった不登校、兄弟間の争いは、家庭環境の混乱を投影したもので、SOSのサインであったと考えられる。 ※プライバシー保護のため、文中の一部変更を行なっております。ご了承下さい 。 |
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