14.思春期青年期症例 一年間の報告
|
|
|
1.はじめに めまぐるしく変化する社会情勢や生活環境の中で、子どもたちに対してもその与える影響は大きいものと思われる。近年は、単に非行、不登校というだけでなく、様々な問題を抱えているケースが増加している。当院では以前から思春期外来を設けているが、最近では思春期の問題を解決できず、青年期になっても様々な症状を呈すケースもまた増加してきている。そこで今回、平成12年10月から平成13年9月までの1年間の思春期外来を訪れた新患について調査を行ったので報告する。 2.調査結果と考察 1年間の全新患数は943名で、30歳未満は310名、約32%を占めていた。病名別では「抑うつ状態」が最も多く116例、次いで「精神分裂病」 29例、「アルコール・薬物依存」が27例となっている。その他「不登校」27例、「摂食障害」27例、「神経症」24例などとなっている。経過からうかがえる背景としては、両親の離婚をはじめとした家庭内不和が25%、いじめ15%、不登校14%、転校・中退13%などであった。 また、入院となった症例は125例で、全体の約40%を占めている。病名別では「抑うつ状態」28例、 「精神分裂病」21例、「アルコール・薬物依存」19例、「不登校」15例、「摂食障害」13例などとなっており、全員が内観療法を体験している。症状に対する薬物療法だけでなく内観療法を取り入れたことにより、ほとんどが短期間で退院している。このことはスタッフとの信頼関係が増し、好ましい自己像を確認できた結果と思われる。 昭和60年度の思春期症例の調査では、175例中「シンナー乱用」82例、「不登校」24例、「抑うつ状態」18例などであった。平成12年10月から平成13年9月までの統計を昭和60年度と比較すると、「抑うつ状態」が増加している。主訴としては「気分の落ち込み」、「意欲の低下」などで受診しているが、経過の中で家庭内不和やいじめ、不登校などいくつもの問題を抱えている症例が多かったのが近年の特徴とも言える。また、家庭内での親子の信頼関係や学校内での対人関係がうまくてきず、家庭内暴力やリストカット、摂食障害などの問題行動を主訴として受診するケースも多く見られた。 思春期青年期症例では、対人関係の基礎となる親子の好ましい信頼関係の欠如、意欲・自信の喪失と人生目標の欠如などが共通点と考えられる。内観療法は、今までの自分を振り返ることで問題を整理し、症状改善や行動修正を図り、対人関係や自信の回復などのために有効と思われる。また、家族への支援として平成12年1月より思春期青年期家族会が発足している。今後は多様化、深刻化するであろう思春期青年期症例への様々なアプローチを検討していく必要性があるだろう。 ※プライバシー保護のため、文中の一部変更を行なっております。ご了承下さい 。 |
|
|
|