行動内観体験を通して



札幌太田病院 心理士
下田 妙子

第7回北海道いじめ・暴力・ひきこもり治療研究会 抄録集:8,2004


 
T.はじめに
 平成15年6月6日〜6月8日までの3日間、東京の「行動内観研修センター(代表:高橋 正)」で研修する機会を得た。そこでの体験と、行動内観を実際に臨床現場に取り入れた結果を加え、家庭や学校教育への展望を考察する。


U.自身の行動内観体験
 行動内観では、人物、身体、心に対しての自分の行動を振り返り、健康的なライフスタイルを確立させていく。集中内観体験から二年経過し、病棟内で面接者として働き、様々なことを考えさせられる日々を送った。多種多様な症状、家族背景を持つ内観者に関わることは、人生経験の未熟な私にとって毎日が新鮮なものである。同時に非常に責任の重さを感じ、人間の心に接することとは、いかに大変であるかを痛感する日々である。
 行動内観により、改めて家族からの愛情を確認した。両親がしてくれたことの多さを思い知り、感謝しながらもして返す行動につながっていなかった自分を反省し、まずは連絡をよく取り、近況を知らせていくことから始めることを目標とした。身体、心に対しても生活リズムが崩れていることが明確となり、意識せず、粗末に扱っていたことに気付いた。特に充分な睡眠時間の確保が大切であることを痛感した。
仕事においても内観者に対し、自分の心、体を医療者任せにするのではなく、自分自身が治すという気持ちをもつことが重要である援助を心がけた。私自身、内観者に今必要なことを一緒に見出していくお手伝いができるのではないかと考えられるようになった。
 最近は、自分から余裕を持ち行動するにはどうしたらよいのか、という考えを持つように意識している。急いでいる時は焦りが生じミスにつながり、疲れていると些細なことに感じる喜びが薄れる。順を追い、物事をすすめ、不安や悩みが生じた時は相談する習慣をつけることが、必要であると考えている。この心の余裕が、体の健康につながり、より視野の広い充実した医療を提供できるのではと感じている。まだまだ未熟な私であるが、子育ての親や教育現場においても活用できると思われる。


V.展望
 現在、思春期症例は増加しており、家庭、教育、医療現場での見直しと連携が求められている。私自身、行動内観を通して人間関係の改善や自主性、感受性を身に付ける契機となり、医療従事者という立場においても大変有効なものであった。家庭や教育現場でもどのように相手と接していいか戸惑いを感じる方は多いのではないだろうか。そのようなときに、行動内観的手法を導入することにより、親子間の絆や信頼感の回復、自主性の手助けが可能と考えられた。
 思春期問題が表面化した時、家族全体で取り組む姿勢が重要であるが、実際は責任転嫁や意識の低さが問題を深刻化しているように思われる。私も行動内観前、責任を見出すことに重点を置き、今後の統括的なサポートまで至っていなかった。それぞれが内省し、気付き得たものを実行すれば現在の自分の問題と向き合えることを行動内観より教えられた。



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