うつ病と出会って

〜内観療法を教育現場で活かすことの重要性〜

A.H氏(30代男性)

第7回北海道いじめ・暴力・ひきこもり治療研究会 抄録集:4,2004


 
 私の職業は、小学校教師です。職場内では、ちょうど中堅に位置し仕事の内容も学校内だけでなく校外的な仕事も増え責任のある仕事を任せられるようになりました。次に挙げる数字の意味が解かりますか?北海道は、約180名全国では、約5600〜5700名。実は、昨年度に精神的疾患で学校を休職している教師の数なのです。昨年末の新聞の一面に「教師、心の病急増」という見出しで大きく掲載されました。私は、内心少しホッとしたのが正直な気持ちです。しかし、こんなに多くの教師が学校に行けず苦しんでいるだなあと考えさせられました。
 私が学校に行けなくなったのは今回が初めてではありません。今からY年前のことです。教師になったら誰もが1度は、卒業生を送り出したいものです。
 私は、その当時20代で仕事も少し覚え教師生活も楽しく張り切って初めて5年生を希望しました。学級も順調にスタートし、子どもたちと楽しい毎日を過ごしていました。しかし、1学期の後半に1人の女の子の異変に気づきました。
 その子は、学習も運動もできクラスのみんなが認める中心的な存在でした。
 まず、顔つきがつまらなそうになり、授業中も発表しなくなり、最後には私が声をかけても無視するようになりました。これはまずいと思い、彼女と何度も話し合いを持ちましたが解決には至らず、6年生になっても私と彼女の溝は埋まりませんでした。そして3学期、自分は彼女に何を教え何を成長させてあげたのだろうと、自分を責めるようになり不安が募り、授業を教えられなくなり学校へ行けなくなりました。そして、精神科を紹介されそこで『うつ病』と診断され休職しました。その後は、通院と服薬をしていました。
 数年間、学級担任から外れ一昨年再び学級担任を受け持ちました。今度は大丈夫と思って望んだのですが、やっぱりY年前の事が頭の中と心の中から消すことができず、担任を降りることになり今度は長期休職してじっくり治療した方がよいという学校の方針で現在に至ってます。
 以前通院していた病院を換え、服薬とカウンセリングを受けていました。
 しかし、症状は変わらず段々家に引きこもる、何もしたしたくない、子どもとも遊びたくない等、家庭が暗くなっていきました。その事を医師に話すと「内観療法を受けてみなさい」と言われ札幌太田病院を紹介して頂きました。
 私の欠点は、自分に苦手な事や壁にぶつかった時、それを乗り越えず楽な方の道を選択してしまう事でした。それを克服するのが入院生活での課題でした。
 集中内観の1日目で弱い自分が出てしまいました。「もう続けられない。もうやめたい。」と内観士の方を困らせました。何とか説得され1週間やり遂げた
 達成感は今でも忘れません。【してもらった事】【してあげた事】【心配・迷惑をかけた事】この3つの質問は、日常生活では特に考えもしないで過ごしていましたが、改めて考えさせて頂き自分を見つめ直す機会を与えて頂き感謝しております。また、病棟内での小さな社会生活も自分にとっては大きな財産になりました。そして、心の中で仕えていた物がスーッと消えました。
 内観療法は、今の教育現場に必要だと感じました。まずは、教師自らが内観を体験すべきだと感じました。現在教育現場で抱えている問題は、私個人の考えですが、@学力低下 Aいじめ B不登校・登校拒否 C校内暴力 D凶悪犯罪の低年齢化 E教師の指導力不足 F親の教育力の低下 G児童虐待、…。まだまだあるとは思いますが、@以外については内観療法によって改善できるのではないかと思います。
 今私は、職場復帰訓練として学校にもどっていますが、勉強を教えるのは当然ですが、これからは、『こころの教育』と『命の大切さ』を今まで以上に子どもたちに考えさせたいなと思います。それと、学校・保護者・地域が連携して子どもを見ていきましょうと言われていますが、今回の入院で上記の3つに医療を加えて4者が連携して未来の宝である子どもたちをサポートしてあげたらとつくづく思いました。


※プライバシー保護の点より、抄録を1部変更しております。御了承下さい。


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