中学生グループの行動療法とボランティア体験


北海道浅井学園大学大学院
山科 千恵
第4回北海道いじめ・暴力・ひきこもり治療研究会抄録集:9,2002


  
1.はじめに:
 某社会福祉法人施設(障害児・者を対象とし、外来での診察、デイサービス、ショートステイ、訪問看護などを実施している)で行われている外来の集団訓練の活動内容と、そこでのボランティア体験から感じたことを報告する。

2.対象:
 中学生前後の子供たちで構成された10人程度のグループで、自閉症やダウン症など様々な症状を持った子供たちが参加している。

3.活動の実施状況と目標:
 月に2回、隔週で実施されており、作業療法士、心理士、ボランティアが関わっている。活動は、遊びやゲームを通してソーシャルスキルを身に付けることを目標に行われている。

4.活動内容
 現在は「インタビュー」と「タオル落とし」を行っている。
 「インタビュー」は、子供たちが指導者側で用意した質問を別室で待機している保護者の所に行って聞き、聞いてきた内容を仲間の前で発表するというものである。話しかけられるかどうか、質問を正しく伝えることができるか、応えを理解し、それを仲間に伝えることができるかなど様々な課題がある。
 「タオル落とし」は、子供たちがルールを理解して遊べるようになることや子供たち同士の関わりを少しずつ増やしていく事を目的に行っている。通常の遊びのルールと同じであるが、罰ゲームは除かれている。

5.子供たちの変化:
 人との関わりが上手く持てない子供が多く、始めは自分勝手な行動が見られたり落ち着かない状況であった。それが、少しずつ周りの様子や友達の様子を観察して適切な行動をとれるようになってきている。それに伴って、活動内容も少しずつ高度になってきている。
 インタビューで初めは戸惑って分からないと混乱していた子供が、3回目位から問題なくこなせるようになった。タオル落としでも初めはルールの理解が曖昧で上手くいかないこともあったり、途中で抜け出してしまう子供がいたのでサポートが必要だったが、回数を重ねる度に正しいルールに近い形で遊べるようになっている。他にも後ろを向かずに手で探れるようになったり、鬼の様子をよく観察するようになったりしている。また、落とす側も、タオルを落としたことが分からないようにフェイントを使ったりするようになってきた。
 今は、大人との関わりが主だが、今後は子供たち同士の関わりを少しずつ増やしていく予定になっている。

6.ボランティア体験から感じたこと:
 直接子供と接することで筆者自身の偏見に気付かされたり、新たな発見があった。障害児を症状や障害で一括りにしてしまうのではなく、その人を見ることの大切さを改めて感じた。また、スキルを身に付けることで、本人にとってもその周りの人にとってもいい関係が築かれることはとても有意義であり、ソーシャルスキルの大切さについても学んだ。そして、筆者との関わりも子供にとっては新しい人間関係の一つであり、そこで上手く関係を作れるようになることで、多くの人と関わりを持てるようになるきっかけの1つになってくれればと願う。一方で、筆者の関わり方からも子供たちは様々なことを学んでいるのだと思うと、ボランティアと言えども責任を持った対応が必要とされるのだと改めて感じた。ボランティアは筆者自身にとって有意義な学習の機会であり、これからも子供たちと一緒に成長して行きたい。






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