家庭の機能不全による不登校児と関わって

札幌太田病院 看護師    佐々木 美弥、松川佐代子
札幌太田病院 医師      阿部一九夫
第4回北海道いじめ・暴力・ひきこもり治療研究会抄録集:6,2002


 
1 はじめに 
 近年、児童の不登校・家庭内暴力が問題で入院する児童が増加傾向となっている。
 今回、家族関係に問題があり、不登校・家庭内暴力で入院した男児の症例を通し、児童の成長・発達段階の家族役割の重要性を学んだので報告する。

2 症例
 A君、10代半ば、男性。母、弟の3人家族。父は薬物依存と暴力傾向がありA君が10代前半の時離婚、複雑な家庭環境で育つ。
 母は現在無職、水腎病・骨粗鬆症・膀胱機能障害など様々な疾患を抱えているため、体調を崩すことが多く、A君に対し無関心である。

3 入院までの経過
 家庭の都合で引っ越し転校したが数日しか登校せず、母が学校へ行くようにいうと暴力を振るうため、母が相談に来院され本人も治るならと内観目的で初回入院となる。

4 入院とその後の経過
 入院当初、入院を拒否し拒食が続いたが、徐々に落ち着き集中内観に導入する。内観後母への感謝の言葉が聞かれ、登校するとの言葉が聞かれた。登校を目標として関わり、初日は拒否がみられたが、主治医・スタッフ同伴にて通学し、一人で通学が可能となった。しかし、家に帰ると家からは通学できず、母は体調不良などを理由に、治療に非協力的であった。
 A君は数ヵ月で退院となった。しかし数ヶ月後、母がA君の暴力を訴え救急隊へ通報「自分では育てられない、施設へ入れてほしい」と訴え、A君を保護する意味で再入院となった。
 その間、児童相談所等の他部門と話し合いがなされ「母親に育児能力が無いのでは」との意見が一致し、児童相談所に保護する方向で話し合いは終了した。しかし、結果を聞いた母は自分で育てたいと意見を変えてきた。
 A君は家に帰ることを望んでおり、このような状況でお互いにとってどうすることが一番望ましいか現在検討中である。

5 おわりに
 本症例を通し、我々は児童の成長・発達段階において家族関係・母親の役割がいかに重要であるかを学び、母をも治療対称とする家族療法の必要性を学んだ。
 本症例を参考にし患児のみを治療対称とするのではなく、その背景にある家族システム・親子関係・学校との関係をも含め、広い視野で今後も関わることが必要である。今後いっそうの支援と考察を深めていきたいと考えている。




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