アルコール依存症の治療成績〜集団認知行動療法を含む治療プログラムを実施した100例の調査から〜

北海道・医療法人耕仁会札幌太田病院

伊藤恵理 伊藤聡一郎 齋藤述史 千葉信行 根本忠典 太田健介 太田秀造

【はじめに】アルコール依存症者の予後に関して、既に多くの報告がある。かつては、1年断酒率が34%(山根)、45%(Fitzgerald)という報告が多かったが、近年は、認知行動療法(CBT)の導入などから、断酒率向上が報告されている。当院は、30年余前から十段階心理療法を採用し、2005年10月より集団認知行動療法(CBGT)を導入した。今回、19:22 2008/10/15CBGT導入後の1年断酒率の調査結果を報告する。

【方法】対象:2005年10月〜2007年3月の間に当院にてアルコール依存症に対するCBGTを修了し、退院後1年以上経過した100例。調査方法:自作の質問紙を用い、面接または電話による調査を行った。調査項目は、飲酒の有無、直近3ヶ月以内の飲酒の有無、抑制障害の有無などである。予後分類:6群に分類し、更に大きく断酒群、飲酒群、不明群の3群に分類した。当院CBGTについて:2000年より国立久里浜病院で開始されたものを移入した。1クール8回、1セッション90分、1回の参加者は5〜8名。内観療法、疾患教育、ピアサポート、断酒会参加、共同住宅へ退院など、アルコール治療プログラムの一部としてCBGTをとして実施している。

【結果】断酒群が56%、飲酒群が14%、不明群が30%であった。飲酒群のうち抑制障害有36%、無64%であった。断酒会参加継続者は、断酒群で34%、飲酒群で29%であり、両群に統計的有意差は認めなかった。退院後、再飲酒までの期間は、1ヶ月未満が43%、3ヶ月未満が30%で合わせて7割を超えた。

【考察】アルコール依存症の1年断酒率は、最近の報告では45.3%(西川2004年)、34%(宮川2000年)、と報告されている。当院においては、1年断酒率は、30.7%(1984年39例)から、今回は56%に改善した。当院のCBGTは、終了時のアンケート調査でも参加者の満足度が72%と高く、患者が主体的に治療に取り組むことに役立つと考えられた。CBGTの有効性に加え、地域4断酒会の院内開催、病院近隣に共同住宅10軒創設、酒害相談窓口の設置、アルコール専門デイケアの10年前導入などの複合的ケアが相乗し、治療成績の改善に繋がったと考えられる。