増加する心身症とアルコール・薬物依存への対応
―集中内観療法の有効性―

札幌市・札幌太田病院 太田耕平

日本醫事新報3777;44〜49,1996.


  1. 心身症および心身医学的治療を要する症例の増加

    (1) 増加の背景  
    この数年、少子高齢社会、父・母役割の混乱、家庭教育力低下による人格形成の遅れ、男女同等社会、労働の第3〜4次産業化、受験戦争、知的教育のみ高度化、伝統的思想・倫理観の低下、経済・物質中心主義、心の教育の欠落、諸外国に比べ宗教性の乏しさ等の社会変化に起因すると考えられる重症心身症例が増加しており、心身医学的・多面的・全人格的治療を要する。その原因は多様であるが図1に要約を試みた。
     仮面うつ病は理論的に別としても、多くの心身症、神経症、抑うつは合併しがちである。さらに心身症的状態を基礎に、アルコール依存や薬物依存が発生しやすい。

    (2) 人格の発達段階と心身症的病態の増悪段階の関係  
    人格には発達段階がある。(図2)この発達障害は心身症や神経症、うつ状態等の発生原因である不適応やストレスとなりうる。さらに、人格発達が一定レベルに停滞し、年齢のみ重ねていくと、その人の人格レベルと、その年代の一般的に望まれる人格レベルの差異と乖離が著しくなり、これが新たな適応障害を起こし、新しいストレスとなりうる。
     ゆえに、心身症、抑うつ、神経症等の診断・治療には、人格的ストレス、発達史的理解、家族療法等、内科医や精神科医、臨床心理士による的確な多面診断と精神科医、心理士、作業療法士、運動療法士、音楽療法士等、さらに共同住宅・家族・職場を連携するケースワーカー等、チームによる多面的治療を要する。(表1)

    (3)心身症治療の難しさ
     −遷延例や薬物・アルコール依存を二次的に発生させないための工夫と努力を
     
    最近、当院でのアルコールや薬物依存の比率は増加傾向にあり、特に後者のそれは目立つようである。
     その契機の一つに医療機関で処方された精神安定剤や眠剤が少なくない。多面的診断やこれに対応した多面的治療が不十分であれば、これらの薬剤の効果は一時的かつ一面的である。ゆえに効果も少ないために、医師も患者もより薬物の増量で対応しようとするならば、医原性の薬物依存を発生しかねない。
     心身症治療には、それに合併しやすいアルコール・薬物依存、食行動異常等への深い理解を要し、多面的診断と治療、多面的人材、援助グループを必要とするのである。(表1)受療者や家族の人格成長や融和を深める援助をしつつ、医原性疾患の発生や、治療者が共依存を形成したり、enablerになることを避けつつ関わることが大切である。小・中学生の不登校は、背景にいじめや甘やかしがある。これらも後に各種の心身症や依存症の素地になりやすい。女性心理士がまず対応し、不安を除去していくことが望ましい。


    心身症が増加する社会的背景


    図2 青年期の心理特性



  2. 心身医学的人間理解−インフォームド・コンセントと心身症診断・治療の質の確保を−

    (1) 職員教育  
    人間存在を身体、精神、社会の三要素で捉える(図3)。さらに、知識、教養、家庭、将来目標(実存性)の三要素を加え、計六要素として理解もできる。これらの要素が健全に連携を保ちながら成長することが望まれる。これらのいずれかに年齢に不相応な発達障害か適応障害が生じると、種々の心理面、身体面、社会面に心身症的障害や症状を呈するようになる。(図4)。
     人格の発達水準にはいくつかの段階があり、そのstep upには適切なstress(発達課題)が必要であり、これを乗り越えて行くことで、より高いレベルの自覚と責任を遂行できるようになる。

    (2)初診時カウンセリングと各種心理テストの大切さ  
    当院での診断−治療−援助は表1に示すように一応標準化を試みている。この標準に従って診断・治療等を進めることが職員間の共通理解となっており、症例検討や報告、学会発表などもこれに準ずるように職員にお願いしている。
     新患来院時のインテークは、ケースワーカーが生活史、学歴、職歴、治療歴等を詳しく聴取し、アンケート用紙四種を用いる。さらに、なるべくY−G、Egogram、SDSを診察前に行い、採点を済ませておく。
     各種心理テストは、それぞれの理論と経験による修正体系を持っており、その適切な組合せで有力な情報を得ることができる。家族からは場所を変えて別に聴取することも多い。
     これらの情報から、患者を診察する以前に問題点や治療法計画を予測しうることが多い。最近は必要に応じ、外来で簡易ロールシャッハ面接を行っており、症例のより的確な診断に役立てている。

    表1 心療内科、精神科症例検討の進め方
    (心身症状、アルコール、薬物、精神分裂病、思春期、老年期などの症例)
    診    断
    1. 生育史、教育歴、職歴、病歴(病状形成、性格形成、影響を与えた要因は)、遺伝歴、身体的側面(Axis V)、身体病、ADL
    2. 自己像Self Imageの診断と実存的把握、知的水準、性格診断
    3. 症状等の力動解釈と防衛機制の診断、心身症的把握、欲求発達レベル
    4. 現象学的理解と診断(精神病理学)→疾病分類診断→薬物選択
    5. 家族内力動、夫、妻、子、その他の家族診断と問題点
    6. 職場、社会的背景、社会心理的ストレス(Axis W)と問題点
    7. 高齢者の総合的プラン
    治 療 援 助
    1. 治療計画(簡易精神療法、カウンセリング、自律訓練、交流分析、行動、箱庭、内観、作業、集団、運動、芸術、家族、薬物療法、デイケア、R.O.法、その他)…本人、家族、職場さらに職員一同への周知
    2. 教育計画(治療の必要性、病識、自信、人生展望、生活目標、薬物の必要性、副作用、治療の流れ、諸検査の説明、院内集団療法、学習会、断酒会、退院後の方針)…本人、家族、職場さらに職員一同への周知
    3. 援助計画(家族関係、家族療法、就職、職場調整、住居選定、経済、友人、家族会、地域ネットワーク、共同住宅、福祉ホーム、共同作業場、老人保健施設、訪問看護で指導、再発防止教育、公費負担)
    4. 外来、退院後のフォロー、再発防止、訪問看護、外来給食サービス、退院者の会、家族会、レク、各種行事等の援助、地域断酒会への参加
    診断

    治療
    援助の反省
    1. 治療、教育、援助の進度、効果の確認、心理テスト再試行
    2. 臨床心理士、ケースワーカー、看護婦、准看護婦、OT、ST、介護福祉士、薬剤師、Dr、福祉事務所、保健所等との協力、連携の確認
    3. 治療経過、効果からみた各種診断・治療の反省、院内および各学会発表
    4. 治癒率の向上と効果的治療システムをめざし、反省と検討を常に行う


    図3 生活の3要素
     
  3. 児童・青年期の心身症と心身医学的接近

    (1) 青年期の心理特性は図2に示すように、子供の依存性から、大人の独立性へと逆転するように、量的変化ではなく質的変換の時期である。この間、親(または親代わりの人)への反抗や攻撃、過度の自己主張などが生じやすい。青年期は、性器官の発達、学友や受験葛藤、さらに社会との出合い、将来求められる自我との乖離の自覚、加えて従来とは異質に活発化してくる性活動との葛藤など、対処を求められる問題は多いのである。
     
    近年のわが国での伝統的文化や宗教的連帯の乏しさ、家族や地域の連帯感の乏しさ、さらに母の早期からの就労による被愛意識の欠乏、家庭文化や家庭帰属意識の希薄さは、子の人格の中心部に空洞化を生じると思われる。すなわち、自分を励まし、自分に自信を与えて、自分に正しい方向を示すもう一人の自分(super ego)形成が未熟である。

    (2)不登校(身体的愁訴)、引きこもり、暴力傾向、アルコール、薬物依存の若年化、食行動異常等が増加している。アルコール・薬物依存症ではしばしば、食行動異常を合併している。
     
    これらの状態像は、一見して複雑、多様にみえるが、よく観察研究していくと、その原因や背景要因は類似しており、その表現のみ違うことが多い。
     症状発現までの生育史にはしばしば、親の離婚や欠損、親のアルコール症、AC(adult child)問題、父母の不仲、体罰、いじめられ問題、性的被害、重大な喪失体験等がみられる。家族教室や家族療法による家族支援が必要であり、かつ有効である。

    (3)これら心身症状態に対し、カウンセリング、箱庭療法、集中内観療法、家族療法、患者会等の総合的治療は、しばしば極めて高い有効性を示し驚かされることが少なくない。

    (4)特に集中内観の効果が高い理由としては、以下があげられる。
    1. 7日間、周囲や父母から遮断することにより、父母への依存が修正される。
    2. 自分の生活史を出生後から現在まで、親しいすべての人との関係を調べることで、自分の葛藤の発生の機序を自分で知る。
    3. 自分自身の行動をしっかり振り返ることで自分の自己中心、疾病利得、不適切な適応の仕方に気付く。
    4. 周囲からの大いなる愛に気付き大安心する。

    (5)思春期の多くの症例が、生活史の中で、また発症の誘因として、大きな悲しみ、絶望、つらい喪失体験、自尊心の喪失等を体験していることが多い。それは親の死亡、離婚、体罰、アルコール症の父の暴力、いじめられ、親の無関心、受験失敗、性暴力被害、交通事故加害死等であろう。そしてそのショックや深い悲しみをいやすことなく引き続いていることが少なくない。
     
    この深い悲しみやショックは、その後の、否認、混乱、パニック、怒り(敵意、攻撃、行動化、高血圧、胸部圧迫感、心臓神経症、各臓器の痛み)、意気消沈(孤独、抑うつ、無関心、疾病への逃避)、逆にType A的行動、さらに各種の心身症(不眠、食欲低下、体重減少、罪責感、希死念慮)の原因となりうる。
     ゆえに、これらの喪失体験や深い悲しみを言語化し、治療者と共感し、自己受容を援助することが治療の重要な部分を占めている。集中内観療法はこれにまさにぴったりの治療法であり、奏効性も高い。
     治療効果や家庭社会適応を高めるため、医療職員、心理士、ケースワーカーがチーム医療の中で父母役割を演じ、さらに病院内外での治療支援共同体が擬似家庭、または院内学級、擬似社会として治療機関は機能する必要がある。



    図4 人間のモデル


    表2 不登校、食行動異常の中高生・青年の入院治療看護計画(職員用)
    (入院期間7〜14日間)
    第T期治療第U期治療第V期治療
    目標
    1. 入院時指導
    2. 事故防止
    3. 身辺介助
    4. 傾聴、話し合い
    5. 内科的検査
    6. 心理テスト
    7. 学力テスト
    8. 学校との連携
    9. 家族は家族会に参加
    1. 生活指導、レク・作業療法
    2. 集中内観療法
    3. 家族内観
    4. 内観日記
    5. 母子ボディーワーク 父子ボディワーク
    1. 学習指導
    2. 病状説明
    3. 病識出現の確認
    4. デイケア参加
    5. 教師との関係
    6. 病院から通学
    7. 心理テスト(再)説明
    8. 父母へ退院時指導
    9. 外来でフォロー
    A.運動療法  B.精神作業療法  C.音楽療法  D.自律訓練


  4. 思春期心身症の治療

     当院では、小学生から30代前半まで、思春期を幅広く対象として捉え、思春期心身症の治療は表2のようになる。思春期では1年1年が発達上で重要な意味を持っており、適切でない治療がもしなされれば、症状の遷延、社会的引きこもり、非社会的人格障害、アルコール依存、薬物依存の発生等、将来の発達や人生に大きい影響を与える恐れがある。
     思春期症例の治療計画の原則は、以下の通りと考えられる。

    1. 有効であると確証のある治療法を選ぶ。
    2. 入院期間は、短日数(7〜30日)に抑えることが大切であり、無理なく、学校や自宅、共同住宅に退院させ、その後、外来的に経過を援助する必要がある。
    3. 極めて有効な集中内観療法を行うべきで、内観日記を毎日つけること。
    4. 家族療法、家族教室等を通して家族全体の調整・融和を図ること。集中内観後の親とのボディーワークは家族療法として有効である。
    5. ロールシャッハテストを含め心理テストバッテリーにより多角的心理診断を行い、精神分裂病を正しく除外診断すべきである。
    6. 安定剤の使用は依存症防止の観点から、最適薬を必要再少量とし使用期間も短くしたい。
    7. 医学的治療のみでは、効果に限界があり、音楽療法(発声練習、合唱、独唱、リズム打ち、ハンドベル、独奏、ピアノ個人レッスン)、詩吟、絵画療法、箱庭療法、習字、七宝焼、木工、運動療法(登山、ウェルネスマシン、自彊術、卓球…)、ヨーガ等、極めて多様なプログラムから、本人の希望によって選んでいく。
    8. 学習能力や学習進度を学力テストで把握し、院内で学習指導すること。院内学級による学力増進は、本人の自信や登校意欲を育てる面で効果が大きい。
    9. まず病院から通学させる。親や職員の同伴登校、校長室登校、保健室登校、さらに半日登校から始める。学級担任教師、保健室、校長先生との連携は大切であり、当院の治療法や論文を提供して理解していただく。
    10. 心の健康のあり方、生活および人生目標を作ることなどの教育、集団療法も大切である。
    11. 自宅では父母への依存や拒否、暴力が再発する恐れのある症例ではまず共同住宅に退院させ、デイケア等に通うことが有効である。
    12. 食行動異常症には仲間の会(当院ではECの会)に参加し、仲間同士の語らいが有効な部分もある。東京での「NABAの会」の参加も推奨したい。
    13. 退院後は、デイケア通所やホームヘルパー研修参加等を勧め、時間の構造化の援助に心がける。
    14. 治療は病的部分にはしっかり関与するが、さらに、本人の長所を伸ばし、体力を鍛え、他人との関係を持ち、将来への目標を持つこと、これらの援助が有効である。


表3 女性の発達段階と心身症とアルコール・薬物依存の原因(太田)
小・中学期@ いじめられ A登校拒否
中学・高校期@、A、B神経性食思不振症、非行、青い鳥症候群、シンナー乱用、家庭内暴力、対人恐怖
自立期進学と就職の葛藤、自立葛藤、性格未熟、性格逸脱、モラトリアム、女性としての同一化障害、
食行動異常、Wrist cut syndrome、若年アルコール薬物依存
社会人期職場の葛藤、ストレス、転職、シンデレラ症候群
配偶者選択期 結婚ノイローゼ、失恋、夫との性格不一致
出産・育児期 産褥うつ病、育児期うつ、妊娠中絶後のうつ
中年期 目標喪失、オールドミス型、もえつき症候群
中年初期 家族内ストレス 夫の酒乱、女性問題,夫との無意識の競争 子の非行、登校拒否、老人の介護疲れ
中年中期夫の単身赴任、夫の病死、夫の事故死、夫の病弱、嫁姑問題、離婚後の孤独、女としての自我の肥大、
わがまま
中年後期 空巣症候群、子の自立、女性性喪失、退行期うつ病、閉経期症候(のぼせ、発汗、不定愁訴)、
夫への嫌悪感
初老期 夫の病弱と死亡、転居、生活目標喪失、配偶者介護疲れ
老年期 老年期衰弱、老年期うつ病、不眠、ひま、生き甲斐の喪失、死への不安
〜74老年初期 嫁姑問題、老人クラブや町内会での葛藤、病院依存、老年期うつ、引越しうつ病、生活目標喪失、
配偶者介護疲れ
〜84老年中期 入院、入所後のうつ、施設依存、不眠、老年期神経症(死への不安)
〜老年後期 老年期衰弱
※これらの原因で神経症、心身症やうつ状態、飲酒などが常習化しやすい。


  1. 中年女性の心身症

     この数年間で、当院を訪れる女性アルコール症、薬物依存、パニック状態、抑うつを合併する心身症は著しい増加を示している。その世代が負う発達課題を表3に示した。症例により個別性が高いが、生活史における喪失体験の「いやし」、さらに社会参加や新しい人生目標への具体的援助を要し、感謝や奉仕のできる人格の成長が重要である。
     診断と治療の方向性は多面的であり、以下に示す。

    1. 身体的愁訴への対応
      • 出産後うつから閉経期症候群まで
    2. 年齢、世代別発達課題
      • 妻・母・主婦・女:役割と社会参加の葛藤・・パチンコ依存症?
    3. 家庭的ストレス
      • 専業主婦の場合は孤立と育児ノイローゼ
      • 就労主婦では、夫や育児への不満からくる葛藤
      • 子の不登校、暴力、非行、食行動異常等からくるストレス
      • 夫の病死、事故死、単身赴任、女性問題、アルコール症等からくるストレス
    4. 実存的空虚からくる新しいタイプの神経症、心身症
    5. 自己中心で未熟な性格に起因する適応障害と心身症
    6. 社会参加への具体的援助:例えばホームヘルパー養成研修受講やボランティア活動など


  2. 高齢期の心身症の増加

     高齢人口の増加と、65歳から30年間に及ぶ高齢期の延長により、高齢期には種々の心身医学的対応を要する病態が数多く認められる。その誘因は多様であるが、以下のものがあげられる。

    1. 若い頃からの性格傾向に加えて老年性人格変化によるもの
    2. 内科的・外科的な疾病や入院、手術に続発するもの
    3. 高齢期の失業や孤独によるもの
    4. 家族の喪失や転居によるもの
    5. 生きがいの喪失や死に対する不安からくるもの
    6. 社会的に孤立した老夫婦の不和葛藤からくるもの
    7. 配偶者の介護疲れからくるもの
    8. 入院や入所の環境変化に起因するもの
    9. 健忘や痴呆化に対し周囲や自分への反応によるものなど

    ゆえに高齢者はいつ、どんな場合においても、心身医学的多面的援助を必要としている。
     高齢期のこれからの状態に対しては、全人格的ケアプランを作成し、症状の発生や悪化を防ぐ観点も含めて、計画的に援助する必要がある。
     特に、(1)視聴覚機能の維持、(2)コミュニケーションの活性化、(3)日常生活の活性化、(4)望ましい人間関係の維持−などが大切である。
     訪問看護やヘルパー派遣等の在宅支援、ショートステイ、デイケアなどから地域ネットワーク的支援を開始し、やむを得ず入所・入院してもADLのレベルアップに最大の関心を払う必要がある。
     不眠やせん妄、興奮に対しては、まず脱水を防ぎ、薬物は必要再少量として、全人格的接近の効果を期待したい。痴呆に対してはその程度に応じてR.O.(reality orientation)法、アルバム療法、記憶回想法、絵画療法、音楽療法等が有効である。家族支援や家族会も極めて有効である。


  3. 狭い医学発想を越えた人間支援:生きがい、よろこびの創造−むすび
     今後、増加が十分に予測される心身症に対して、医療従事者の研鑚や医療の質が問われている。どの職業においても知識や技能が至らぬ場合、知らず知らずに顧客(受療者)に迷惑をかけ、罪を犯すことがあるものである。

    1. 正しい診断・治療技法の向上を図る。
    2. 治癒率と治療期間の短縮のための努力と工夫をする自己反省。
    3. 職員の技術、人間性の向上のため研鑚する。
    4. 十分なインフォームド・コンセントを行う。
    5. 治療内容、計画、予後の情報を公開する。
    6. 音楽療法などの有効性は驚くほどのことがあり、人間的・多面的援助が有効である。
    7. 第三者による評価を受け入れる。
    8. 心身症の世代ごとの予防医学的発想を育て、地域を啓蒙する。

    これらが心身医療の立場を強化し、より一般の人々に承認され、社会に有益なものとなると思われる。

※プライバシー保護のため、症例について多少の加工をした事をお断りします。

〔参考文献〕
  1. 太田耕平、他:日精病協誌、8(12):69、1989.
  2. 太田耕平:北海道の公衆衛生、15:48、1989.
  3. 出村守、他:第14回日本内観学会大会論文集、1991.P.256
  4. 大西祥子、他:第15回日本内観学会大会論文集、1992.P.150
  5. 上野ミユキ:月刊ナースデータ、14(6):99、1993.
  6. 太田耕平:幼児から高齢者までの心の発達「十段階心理療法」、札幌太田病院、1995.
  7. 太田耕平:外来における簡易ロールシャッハ面接による診断と治療の試み、札幌医大杉山善朗教授退職記念論文集、1996.P.1
  8. 大西祥子:心因反応を呈するI子への箱庭療法、札幌医大杉山善朗教授退職記念論文集、1996.P.17
  9. 太田耕平:内観療法の奏効機序、第14回日本内観学会大会論文集、1991.P.21
  10. 高齢者ケアプラン策定指針、厚生省、厚生科学研究所、1994.