集中内観療法



臨床実習で看護学生が学んだ内観療法(「やすら樹」No.56、p20〜21、1999)

札幌太田病院 内観担当婦長 上野 ミユキ


 当院では看護学校三校の臨時実習を受け入れている。この学生全員に、@自分自身を知る、A不登校生徒の治療として、Bアルコール依存症の治療として、C終末期医療の適切な看護ができる、を目的にして次の事を計画している。
  • 内観療法のビデオ鑑賞
  • 集中内観の見学
  • 入院者の記録内観を読む
  • 院内内観懇話会への出席
  • 模擬内観を体験する
  • 院内学習会への参加
などである。今回は、これらを体験した学生の臨床実習記録の一部を下に掲載する。

(1)看護実習生 二年生  A子

 短い時間の内観体験だったが、自分が生まれてから、小学三、四年生までの母に対する自分を調べた。「してもらった事」は「洋服を作ってくれたこと」「自転車を買ってもらったこと」。「して返した事」は「食器を洗ったり、近所のスーパーに買い物に行ったこと」など。「迷惑をかけた事」は、「当時としては高価なピアノを買って欲しいとねだったこと」など、様々なことを思い出した。
 この日、自宅に帰ってから、母親が夕食を作っている姿を見て、感謝の気持ちでいっぱいになった。短時間の内観でこれほどの変化が現れたので、一週間の集中内観を行なうと、私の中では何事も前向きに考えられ、今までとは違う自分になれる気がした。


(2)看護実習生 二年生  B子

 私は最初、内観で人が本当に良い方向へ変化するのだろうかと半信半疑だったので、ビデオで内観後の人達の感想を聞いたとき驚きました。
 実際に、自分が内観を体験してみると、それまで見えなかった部分の自分が見えたり、親の有難さがわかりしました。今まではしてもらうことは当たり前と思っていたことにも、感謝できるようになりました。
 嫌な自分を見つめ直し、振り返ることで、周りの人々にどれだけ支えられて生きてきたのかがわかりました。そして、常に感謝することの大切さを学びました。 これからも、一日一日を振り返り、見つめ直していきたいと思います。


(3)看護実習生 二年生  C男

 母のテーマで、短時間だが内観をしました。短時間のせいか、どちらかというと良い思い出ばかりでした。母の優しさや、暖かさが心に芽生えてくる感じがしました。そして自然に感謝する気持ちが強くなり、元気が出てきました。
 今回の経験で、今ある自分は自分一人の力ではなく、たくさんの人達に助けられてあるのだということを知りました。一週間の集中内観を行なうと、自分の嫌な面がたくさん浮かびあがる気がして恐ろしいです。
 しかし、自分とはどのような人間なのかを知るために、その恐怖を乗り越えたいとも思っています。同時に日常内観をして自己を振り返り、成長していくことの大切さも学びました。


(4)看護実習生 二年生  D子

 母のテーマで内観三問について調べました。「してもらった事」は思い出せても、「して返した事」についてはなかなか浮かびませんでした。
 私は、今まで母に何をしてあげてきたのだろうか、と思いました。もう少し自分に素直になって、私を長い間支えてくれた母に感謝する気持ちの大切さ、自分一人で生きてきたわけではないことに改めて気付く機会となりました。