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いじめ問題の医学的理解

「いじめ」問題の医学的理解と親、医師の対応
札幌太田病院   太田耕平  新ヶ江 正
北海道医報 第615号 pp.36-39, 1985より

目  次

  1. はじめに
  2. 「いじめ」の中心は中学生…その心理は
  3. 校医とPTAの連携…PTAの目標は
  4. 避けて通りがちなPTAと校医…いじめ問題
  5. 事例 1〜4
  6. いじめられない子育て…家庭教育
  7. いじめっ子にしない子育て…家庭教育
  8. いじめられの早期発見には
  9. いじめられている時…親がなすべきこと
  10. 医師としての注意…子供を診るとき
  11. おわりに




事例 1〜4


「…こわがって、泣きそうな顔で…」
反省文「友達をいじめた時」 女子

 「○○さんの時のことは、まじめになりたくて、私たちのグループをぬけたいって言うことで、ヤキを入れて、本当に、悪いと思っています。その時の○○さんの様子は、すごくこわがって泣きそうな顔で、じっと私を見つめていました。その子を6人ぐらいで、友人の家の部屋に、カギをかけて、みんなでとりかこんで、なぐったり、けったりして、その人を立てなくしてしまいました。自分一人では、そういうことはできなかったはずですが、数人、集まるとそういうことばかりする自分をとても、ひきょうな人間だと思います。けっきょくその子の親に知れ、なぐられました。しかし、自分もその子と同じめにあったら、やっぱり、自分の親も、あい手の子をなぐったと思う。私たちは、いつも、数人、集まってはそういうことばかりしてきました。」

 の被害を受けた子の場合、けがして学校に行きたがらず、不登校に陥りはじめていじめられていることが明らかとなった。教師に何回か協力指導を依頼したという。しかし、親の目から見て実効なく、結局父親が自ら学校に行き職員室に「いじめっ子」を呼び出し、彼等を皆の前で父自身なぐったという。その痛みと父の剣幕に恐れて「いじめ」はなくなったという。このいじめっ子は母子家庭で育ち非行グループの一人であり、学業成績はオール1に近かった。シンナー乱用と怠学、性格形成障害の診断で入院治療し著しく改善して復学した。


「…服を全部ぬがした他にパンツ…」
反省文「○○さんをいじめたとき」 女子

「○○さんをいじめたときは、ヤキどころか、最後には、服を全部脱がした他にパンツまでぬがして、はだかにしてしまいました。その子は、ていこうしていたのですが、さい後には、自分からぬぎました。そして泣いて、すごかったので、泣きやましてから、帰しました。その子の目の上に、あざを作ってしまいました。そしてやはり、その子の親にばれました。そして、私たちと親とで、その子の家に行って、あやまり、話し合って来ました。その子の親は、最初すごくおこっていたけれど、帰るころになって、許してくれ、手を一人ずつ、にぎって、そのおばさんは、泣いていました。すごく悪いことをしてしまったと思い私たちも涙がとまりませんでした。」

 の事例でも第一発見者は親であり、親同士の話し合いで解決のいとぐちがみつかっている。このケースの場合、いじめっこの親は共稼ぎの多忙な父母であったが、当方の指導により適切な対応がありよい結果となったと考えられる。


「4対1でなぐられ無視され…」
 転校後間もなく「にらんだ…」、「うそをついた…」と本人だけが無視され、放課後、川原に呼び出されては4対1でなぐられた。初めは顔がはれる程度が4〜5回目には鼻や口から出血するほどなぐられ、学校に行けなくなった。本人の親は相手側の首謀者と会うも、「先生に言ったらひどい目に合う」とおどかされた。それでも学校の先生に相談すると「相手に言ってもいいですか」とのこと。父親が首謀者と5回も公園で話し合うも具体的進展なく、夏休みに入った。家族で話し合い、父の職場の近くの学校に転校手続きした。しかし2学期になっても通学できず、現在登校拒否として入院加療中である。

 人っ子として甘やかされて育ち、運動部にも親の反対で入れず、体力もひ弱な子であった。心気症及び抑うつ状態も認められた。一人っ子の子育てにはいろいろな配慮を要することがうかがわれる。


「自殺する…と窓から…」
 室内で暴力を振ったり、途中抜け出しや無断欠席をしていた子であったが、内観療法後のレポートは次のようである。

 「私は、新しい友達もできず、みんなの輪の中に入ろうとしても入れずに、周りの人から『○子ちゃんくらい』とか『○子ちゃんといっしょに遊ぶと面白くない』と言われて一人でいました。そして、そのころも人のいいなりになったり不潔なことをしたりしてきらわれました。それで、男子に『きんがうつる逃げよう』と言われみんなにさけられた気持ちでした。それを見ていた○○先生は心配そうでした。小学6年のころはとなりの席の○○さんって人に背中を何度もたたかれてくやしい思いをしました。それから私たちのクラスだけでソフトボールをやった時はそのルールを知らなすぎてみんなや先生の前で泣きました。7月ごろ集団が気に入らなくまたみんなの前であばれました。そしてみんなの前で、『自殺する』といってまどから飛び降りようとしてだれかにとめられて死ねませんでした。それから数学の時間にふざけていて数学の先生におこられました。そして、2学期、ほかの人のふで入れが私の机の上に知らぬ間に置いてあってみんなが『あんたが人のふで入れをとったんだ』と言った時私は『やってない』とか『やっぱりやった』とかでたらめを言ってみんなに『どうして気がコロコロと変わるの?』と言われて困ってしまいました。」

 の子の場合は、クラスの集団からのけ者にされ、「自殺する」と言って3階の窓から飛び降りようとして止められたり、手首をカミソリで切るなどの行動があった。最近は、遅刻やずる休みが増加し、登校しても保健室に行くことが多い。生来、活発性の乏しい子であるが、教室集団になじめず、いじめから怠学、自殺行為、校内での乱暴、心因反応、心身症等を発症した症例である。親も教師もいじめの実態を把握できておらず、本人の心理や能力に応じた対応がなされていなかった。