心療内科診療 Q&A



集中内観療法が著効した祈とう性精神病(憑依妄想)の検討

―30数年前に牛に全身を突かれた外傷後ストレス障害(PTSD)であった一例―


太田耕平 池田明穂 久保義彦 吉川憲人 響徹 太田秀造 大西祥子 上野ミユキ
(札幌太田病院)


 60代後半の女性。

 4ヵ月前にも多動、不穏、焦燥、

 様がついて放れない、全身から黒い砂が出て仏壇に勢い良く吸い込まれる、などの多訴状態で家事全くできず入院した。初回入院時は向精神病薬で多少軽快し約40日で退院した。

 の後70日後に上記症状が増悪して再入院となり、前回の経験から薬物療法に併せて、バス・トイレ付個室内での内観的接近を試みた。始めはベッド上、次いで屏風内の椅子上、内観第5〜7日には屏風内で正座可能となった。

 の間、30数年前、慣れぬ牛につきころがされ全身に打撲傷で血だらけになり、その半年は自宅で寝た切りとなり医師の診察もなく、その後10年にわたる後遺症のつらさを執ように訴えつづけていた。この心身の外傷体験と現在の症状とは極めて関連性と因果性を示していた。嫁姑間の葛藤もあったが姑の死亡を契機に初発し、症状の変動を伴いつつ老年期に入り著しい増悪を示したが、内観療法が著効を示した