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精神科診療 Q&A
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アルコール依存者に対する10段階からなる教育的精神療法(10段階) 太田耕平、加藤喜久、久慈孝三(札幌太田病院) アルコール研究12(4);163〜164,1977.
これは入院し断酒してから次の第2段階に移るまでの期間である。内科的諸検査や合併症、離脱症状に対する内科的治療が主になる。可能な場合は治療者側から治療方針の説明がされ、互いの信頼関係を樹立する時期であり、酒害に関するパンフレットや勉強会の教材を与える。また院内断酒会員に紹介する。離脱症状が強くしかも長く続く場合とか、性格的なゆがみが強く、治療者側に不満をぶつける攻撃性の強い人の場合には、この期間は当然長引いて2〜3週に及ぶこともあり得る。
離脱症状の軽微な症例では第2週からこの段階に入る。依存者の大多数は入院した時点において入院の正しい理由や原因を知らないことが多い。即ち、「これ以上飲んだら身体をこわすから」とか、「入院の必要もないのに家族が心配して入院させた」という程度の自覚しかなく、その為入院の必要性を自覚せず治療への協力ができないことが多い。ゆえにこの段階では飲酒にまつわる具体的な出来事を挙げて治療や入院の必要性を理解させる。入院理由は、飲酒が身体をだめにしつつあり、さらに家庭や職場や周囲社会でその責任を果せなくなったのみならず、害を与えるに至った点にある。これらを具体的に自覚させる。
これは前段階で知った自分の入院理由をより広い知識から検討を加え、自分が依存者であることを認め、さらにそれを確認してもらう段階である。このためには個人面談や集団療法さらに断酒会における体験発表を行ない、また入門書の勉強会や講義も行われる。依存に関する正しい知識の獲得と自分がなぜ依存者であるかを知ってもらう。
この段階は現在の自分の姿を正しくありのままに把握してもらうと共に、現在の自分の姿が今までの生活の歴史の中でどのようにして形成されてきたか、という自己形成過程をも客観的に振返ってもらう。さらに、このままの自分であれば将来いかなる姿になっていくであろうか、ということも考えさせる。この段階は10段階の中核をなすものであり、今までの自分の生き方や人間としてのあり方の誤りに気付いてもらい、自己を改善していかねばならないという自覚をつくるための基礎となる。ゆえにこの段階では次の6つの方面から自分をみつめてもらう必要があり、14日程度の日数をかけ、このうち7日間は内観療法にあてることが多い。
前段階までの学習により罪の意識と自己批判が出てくると、このままではいけない…自分を変えていかねばならないという気持ちが生じてくる。ここで自分を好ましい方向に変えていく目標として「精神的健康」を設定する。 精神的健康とは… イ. 規則正しい生活これらをはっきり覚え具体的に病院内で実践してもらう。
これは今までの各段階を要約する段階である。 イ. 酒の飲み方や酒害の恐ろしさを知らなかった以上の4点から自分をみつめ直させる。
酒害から立ち直るには自己変革の努力が必要であり、これを確実に押し進めるには節酒ではだめであり、断酒が必要なことを理解させる。身体依存についての教育や節酒による失敗の体験発表も極めて有効である。
退院後断酒を継続するために イ. 断酒会に入り例会に正確に参加するの3条件を原則として実行する心をやしなう。ここでは抗酒剤についての正しい知識を与え、これに対する拒絶心をなくする。飲みたくなったらジュースを飲むその他の具体的な話合いもする。
断酒の継続と酒害知識の増進のみならず、他者との触れ合いから人間性や一般常識の向上、さらにレクリエーションの場であることを知ってもらう。当院では断酒会入会が退院するための条件の1つになっている。断酒会への拒絶心をなくする段階である。
病院内での治療は終了し、家庭や社会で新しい自己を永続的に発展させていく段階であり、当然断酒が継続されねばならない。断酒会及び病院との連絡は継続し、とくに当院退院者の会(しらかば会)のなかで相互親睦を深めていく。 この10段階法は個人面談、集団療法、学習会、輪読会、院外断酒会などを通じて行われ、PSWやPsychologistの協力は不可欠である。一方、家族の学習会を開き妻の人格向上や酒害への知識の普及も行っている。 |