精神科診療 Q&A



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麻薬・覚醒剤・シンナー乱用のおそろしさ




症例:10代後半 女性 フリーアルバイター



初診時の本人と父母の訴え


主 訴
師処方の安定剤を多数乱用、薬物酩酊、薬物への渇望(薬物などを奪い取ろうとする)。入浴しない。興奮。背後に人が来るのを異常に拒否する。左手首自傷。幻聴(一過性)。病院などからの処方薬をまとめ飲みし、父母が隠すと探し出し奪い取る。

家 族
親は健在、○歳年上の姉は別居し、現在は本人と父母の3人家族。

現病歴
学高学年時、姉の男友達に乱暴されたことがあったが、家族には黙っていた。昨年秋頃偶然その男性と会い、昔のことが思い出され、その後吐き気、めまいが出現した。Aクリニックを訪ね安定剤を処方され、その後10数ヶ所の医療機関を訪ね、そのほとんどから、レキソタン、コンスタン、アビリット、メイラックス、エチゾラムなどを服用していた。2回入院したB病院では本人の要求や興奮のため毎日ホリゾンの静注を受け、7日目の注射中に“どっかにいけ“の声とざわざわする音の幻聴が出現し本人も驚いた。心配した父はB病院を退院させ、当院を受診した。

本人の弁
「乱暴された男と偶然会ってから、吐き気、めまい、同じ夢を繰り返しみて不眠となった。薬を飲むとよく眠れたが吐き気、めまいは止まらず次々と病院を受診し、さらに漢方薬も勧められたが効果はなかった。そのうち入院して静脈注射を要求するようになり、7日間続けたら幻聴が起きた。その前後にもホリゾンを救急病院で注射してもらった」

 中内観療法後に内観の印象を問うと、「ここに来て良かった。前の病院のように点滴と薬を受けていたらすぐ同じことを繰り返したと思う。迷惑かけていたことに気付いた。親に邪魔にされている気持ちがなくなってよかった」と語った。

 観終了後、精神状態の著しい改善を認め、父母をまじえた家族療法により家族内葛藤の軽減と疎通の回復を相互に認め合った。軽度の拒食、吐き気を1〜2日残したがその後消失、今後3〜4週間の精神療法、集団療法、作業療法、音楽療法などを要する。父母は7日間という短日数での本人の心身の回復に感激している。

※プライバシー保護のため、症例について多少の加工をした事をお断りします。