精神科診療 Q&A



※過去「精神分裂病」という病名が用いられていましたが、現在は「統合失調症」と改称されております。当ページでも現状に合わせ病名記載を「統合失調症」へ変更しております。ご了承下さい。

統合失調症者の集中内観療法の有効性

〜奏効性を高めるための工夫と経過〜

目  次

  1. はじめに
  2. 保護室内での集中内観療法
  3. 内観療法室の設置とその功罪
  4. 病室内での略式内観から集中内観へ
  5. 病棟単位からみた集中内観療法
  6. 職員の内観体験と内観教育の重要性
  7. 内観療法課と内観療法職員ステーションの設置
  8. 集中内観療法の記録について
  9. 治療計画の中での位置づけ
  10. 導入の工夫
  11. 統合失調症圏の集中内観過程
  12. おわりに




].精神分裂病圏の集中内観過程

症例1:中学生、男、主訴−数ヵ月不登校、幻聴と被害妄想による異常行動
症例2:40代 男子 ○回入退院を繰り返した統合失調症の一例
症例3:20代前半、女、無職、○年前(10代後半時)発症
症例4:30歳代後半、女(数回目の入院時)



症例1:中学生、男、主訴−数ヵ月不登校、幻聴と被害妄想による異常行動

 入院し精神安定剤で幻聴、妄想は消失したらしい。しかし病識は欠如し、拒否、自閉が前面に出てレクリエーション・作業療法にまったく参加しないため集中内観に導入した。その経過(表1)と奏効機序(表2)を示した。
 本症例は著効を示し、再登校を完全にこなし、公立高校に入学しクラブ活動にも適応している。本症例報告は第18回日本内観学会で発表済みである。


表1 症例1の集中内観と経過



表2 症例1の幻覚妄想と内観、奏効機序

  1. 内観三問の回答に、過去あれほど訴えていた幻覚妄想は全く触れられていない。
  2. 幻覚妄想の訴えは治癒前8ヵ月からであり、系統妄想化されていなかった。
  3. 過去14年間に及ぶ内観の回想で、幻覚妄想は極めて最近のことで重要性に乏しかった。
  4. 母、父、姉、祖母、先生などからの発病前の具体的恩愛体験は、安心と安定、連帯感と自信、自我の統合感を与えた。
  5. 恩愛事実を調べる内観を正しく指導すると、幻覚妄想の入り込む余地は少なく、内観法のすぐれた面である。